支弁区分
本ページの内容は参考にとどめていただき、正確な説明については文部科学省発行の事務処理資料や都道県教育委員会の文書等を参照してください。
「支弁区分」は就学奨励費の支給額計算の基となる「児童生徒の保護者等」の区分です。
保護者等の世帯の住所地や、世帯の世帯構成員(生計を一にし世帯を構成する者)の年齢や所得などによって計算され、児童生徒の就学に関する経済的負担能力の余裕の少ない順に「支弁区分1」「支弁区分2」「支弁区分3」のいずれかに分類されます。
支弁区分の呼称と表記
「支弁区分」は過去に「支弁段階」と呼ばれていたこともあり、支弁区分については「1段階」「2段階」「3段階」と呼ぶケースがあります。
支弁区分の正式な表記はローマ数字を用いて「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」と表記します。
これらのローマ数字は 環境依存文字なので、就学奨励費システムでは主にアラビア数字を用いて表示します。
支弁区分の算出
保護者等の支弁区分は、「昨年度の世帯の収入額(F)」と「昨年度の世帯の需要額(i)」の割合に基づいて決まります。
収入額 ÷ 需要額 (F/i) | 支弁区分 |
---|---|
1.5 未満 | 支弁区分1 |
1.5 以上 2.5 未満 | 支弁区分2 |
2.5 以上 | 支弁区分3 |
「収入額 ÷ 需要額 (F/i)」は小数点以下第三位を切り捨てて、小数点以下第二位まで求めます。
昨年度の世帯の収入額
「世帯の収入額(F)」は「世帯構成員の収入額の合計(A)」と「保険料控除額の合計(B)」、「障害者加算(E)」によって決まります。
「世帯の収入額(F)」
= (「世帯構成員の収入額合計(A)」- 「世帯構成員の保険料控除の合計(B)」) ÷ 12 - 「障害者加算(E)」
「世帯構成員の収入額合計(A)」は世帯構成員の昨年度の「総所得金額」、「退職所得金額」、「山林所得金額」(いずれも所得控除前の額)の世帯内の合計です。
世帯構成員それぞれの昨年度の「総所得金額」については、その者が「給与所得者」あるいは「公的年金所得者」に該当する場合、10万円を差し引いて評価します。
ただし「給与所得の額 + 公的年金所得の額」が10万円に満たない場合、「給与所得の額 + 公的年金所得の額」を差し引いて評価します。
「世帯構成員の保険料控除額の合計(B)」は世帯構成員の昨年度の「社会保険料控除」、「生命保険料控除」、「地震保険料控除」の世帯内の合計です。
「ひとり親/寡婦」については、児童生徒の保護者等として届けられる世帯構成員が「ひとり親控除」あるいは「寡婦控除」を受ける場合に、それぞれ「30万円」「26万円」が計上されます。
「世帯構成員の収入額合計(A)」、「世帯構成員の保険料控除の合計(B)」の基となる世帯構成員の(昨年度の)「総所得金額」、「退職所得金額」、「山林所得金額」、「社会保険料控除」、「生命保険料控除」、「地震保険料控除」「ひとり親控除」「寡婦控除」は、世帯構成員の所得証明書によって(あるいはマイナンバー経由の税情報照会によって)入手できます。
「障害者加算(E)」の額は「世帯構成員のうち前年末日時点で特別支援教育を受けていた者の人数」と「障害者加算(月額)」によって決まります。
「障害者加算(E)」
=(「世帯構成員のうち前年末日時点で特別支援教育を受けていた者の人数」- 1)× 「障害者加算(月額)」
「障害者加算(月額)」は世帯の級地区分によって定められています。
世帯の級地区分は、その世帯の前年末日時点での住所(保護者等の生活の本拠地)の場所(地方自治体)によって定められています。
過去には前年末日時点での保護基準を流用していましたが、現在は平成24年12月末日時点での保護基準を流用しています。
昨年度の世帯の需要額
世帯構成員それぞれの、以下の額をすべて合算します。
- 通学費 ( a )
世帯構成員が前年末日時点で義務教育期間にあり、かつ特別支援教育を受けていた場合に、その本人が通学に用いた経費の月額(年額の12分の1、円未満は四捨五入) - 学校給食費 ( b )
世帯構成員の教育扶助基準学校給食費(月額) - 基準額 ( c )
世帯構成員の教育扶助基準額(月額) - 第1類 ( d )
世帯構成員の生活扶助基準第1類の額(月額) - 期末一時扶助 ( e )
世帯構成員の期末一時扶助の額(12分の1して月額換算)
以上の合計額に、世帯の級地区分や人数によって定められている以下の額を加え、その結果を「世帯の需要額 ( i )」とします。
- 第2類基準額 ( f )
世帯の級地区分と人数によって定められている基準額 - 地区別等冬季加算額 ( g )
世帯の級地区分と人数、世帯の 地区区分から一意に定められている額(12分の5) - 住宅扶助基準 ( h )
世帯の級地区分によって定められている額
支弁区分決定の例外
一部辞退
世帯の収入額が令第2条第3号(収入額が需要額の2.5 倍以上の場合)に該当すると保護者等が自ら認め、負担金等の全部又は一部の給付を辞退する場合、収入額・需要額調書に代わる書類によってその世帯を支弁区分3とすることができます。
※就学奨励費システムではこのケースに該当する世帯を「一部辞退」と呼んでいます。
措置費・療育費 受給
「児童福祉法」(昭和22 年法律第164号)に定める児童福祉施設、指定療育機関等に入所又は入院し、当該施設等において就学に係る措置費又は療育の給付を受けている場合、収入額・需要額調書に代わる書類によってその児童生徒の支弁区分を支弁区分3とすることができます。
※就学奨励費システムではこのケースに該当する児童生徒を「措置費受給(生)」と呼んでいます。
措置費又は療育の給付を受けていない施設生の保護者等には、収入額・需要額調書に加えて、措置費を受けていない旨の施設の長等の証明書の提出、あるいは指定療育機関で療育の給付を受けていない旨の機関の長等の証明書の提出が求められます。
生活保護
「生活保護法第6条第2項に規定する要保護者である児童生徒」の保護者等について、収入額・需要額調書に加えてそれぞれを証明する書類を提出させることによって、その世帯の支弁区分を支弁区分1とすることができます。
学校長は市町村や福祉事務所、民生員など協力機関と十分に連絡を取ることが求められます。
この法律において「要保護者」とは、現に保護を受けているといないとにかかわらず、保護を必要とする状態にある者をいう。
年度途中の支弁区分変更
事務処理資料には、
保護者等の収入額に著しい減少が生じた場合や昨年12 月末現在の世帯員に変更が生じた場合など、障害のある児童等の就学奨励のため、改めて支弁区分の決定を行うことが適当であると認められる事由がある場合においては、改めて収入額等の算定及び需要額の測定を行うことができる。
という記述があります。
参照
- ケーススタディ 支弁区分が正しくない
- 業務フロー 8. 適宜行う処理 区分決定後の区分変更